ブロックチェーンの学習にあたり、デジタル文化財の管理システムのプロトタイプを作成経過をまとめます。
はじめに
本書の目的 デジタル文化財の管理において、「真正性の保証」と「来歴情報の永続的な記録」は極めて重要な課題です。博物館や美術館が所蔵する文化財のデジタルデータは、複製・改ざんが容易であり、従来の中央集権的なデータベースでは長期的な信頼性を担保することが難しい場面があります。 本書では、ブロックチェーン技術とIPFS(InterPlanetary File System)を組み合わせることで、デジタル文化財の管理システムを試作した過程を記録しています。具体的には、文化財のデジタル画像をNFT(Non-Fungible Token)として登録し、その来歴情報をブロックチェーン上に記録するシステムを構築します。 なぜブロックチェーンなのか デジタル・ヒューマニティーズの分野では、文化財のデジタルアーカイブが世界中で進んでいます。しかし、デジタルデータには以下のような課題があります。 改ざん耐性: デジタルデータは容易にコピー・変更が可能であり、オリジナルと複製の区別が困難 来歴追跡: 文化財の所有履歴・修復履歴・展示履歴などの来歴(provenance)情報を信頼性高く記録する仕組みが必要 永続性: 特定の機関やサーバーに依存しないデータ保存が求められる 相互運用性: 異なる機関間でデータを共有・検証できる標準的な仕組みが必要 ブロックチェーンは、これらの課題に対して以下の利点を提供します。 不変性: 一度記録されたデータは改ざんが極めて困難 透明性: すべての取引履歴が公開台帳上で検証可能 分散性: 中央管理者なしにデータの整合性を保証 スマートコントラクト: 文化財の貸出・返却などのルールをプログラムとして実装可能 システムの全体像 本システムは、以下の技術スタックで構成されています。 ┌ │ │ │ ├ │ │ │ │ ├ │ ├ │ │ │ └ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ - - ─ - - - ─ ─ - - ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ウ 文 ─ E E 履 ─ ─ 画 N ─ ─ ォ 化 ─ R R 歴 ─ ─ 像 F ─ ─ レ 財 ─ C C 記 ─ ─ デ T ─ ─ ッ の ─ 7 4 録 ─ ─ ー メ ─ ─ ト 登 ─ ス 2 9 : ─ ─ タ タ ─ ─ 接 録 ─ マ 1 0 ─ ─ の デ ─ ─ フ 続 ・ ─ ー ( 7 イ ─ ─ P 分 ー ─ ─ ロ ( 閲 ─ ト N : ベ ─ ─ i 散 タ ─ ─ ン M 覧 ─ コ F ン ─ ─ n 保 ( ─ ─ ト e ・ ─ ン T レ ト ─ E ─ a 存 J ─ ─ エ t レ ─ ト ) ン ロ ─ t ─ t S ─ ─ ン a ン ─ ラ : タ グ ─ h ─ a O ─ ─ ド M タ ─ ク ル ─ e ─ N ─ ─ ( a ル ─ ト 文 機 ─ r ─ I ) ─ ─ N s U ─ ( 化 能 ─ e ─ P の ─ ─ e k I ─ S 財 ─ u ─ F 保 ─ ─ x ─ o ト ─ m ─ S 存 ─ ─ t + ─ l ー ─ ─ ─ ─ . ─ i ク ─ S ─ ─ ─ j w ─ d ン ─ e ─ ─ ─ s a ─ i ─ p ─ ─ ─ ) g ─ t ─ o ─ ─ ─ m ─ y ─ l ─ ─ ─ i ─ ) ─ i ─ ─ ─ ) ─ ─ a ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ テ ─ ─ ─ ─ ─ ス ─ ─ ─ │ ─ ─ ト ─ ─ ─ ─ ─ ネ ─ ─ ─ ─ ─ ッ ─ ─ ─ ─ ─ ト ─ ─ ─ ─ │ ─ ─ │ ─ ─ │ ─ │ │ ─ ─ │ ─ ─ │ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ │ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ │ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ┐ ┤ ┤ ┤ ┘ │ 使用技術の概要 技術 用途 バージョン Next.js フロントエンドフレームワーク 14.x Solidity スマートコントラクト言語 0.8.20 Hardhat 開発・テスト・デプロイ環境 2.x ethers.js Ethereumライブラリ v6 wagmi Reactフック for Ethereum 2.x Pinata IPFS ピンニングサービス V3 API Sepolia Ethereumテストネット - 各章の構成 本書は以下の流れで、段階的にシステムを構築していきます。 ...